産業別人口って言葉は、確か、小学校の社会で習ったんだと思うのですが、その時に見たあのグラフ、覚えていますか?そう、あの三角形のグラフです。今回は、あのグラフを IGOR Pro で描いてみようと思います。
▼ [おさらい] 産業別人口
産業の分類は大分類(20種類)から細分類(1,455種類!)まで、ずいぶんと細かく規定されていて、最近では平成19年に見直しもされているようです*1。
大分類をさらに大きく3種類に分けて、それに従事する人口を、第n次産業人口と呼んでいて、国勢調査で確認することができます。第1次産業は、農業、林業、漁業、第2次産業は、鉱業、建設業、製造業、残りのすべてが第3次産業、ですね。
平成17年の国勢調査によると、日本の第1次産業人口はおよそ300万人、第2次産業人口は1,600万人、第3次産業人口が4,100万人となっています。御多分に洩もれず、第1次、第2次産業に従事する人口は少なく、圧倒的に第3次産業に従事する人が多いことが分かります。三角形のグラフを描くうえで、大事なポイントは、
第1次産業人口割合 + 第2次産業人口割合 + 第3次産業人口割合 = 1
という関係が成り立つことですね。つまり、3つの要素をつなぐ制約条件があって、何かが増えると、他方が減らなくてはいけない関係が成り立つこと。こういう関係が成り立たないデータセットでは、プロットが三角形の中に納まりません。
よく似た例だと、年齢3区分*2なんてのもありますね。
年少人口割合(~14歳)+ 生産年齢人口割合(15~64歳)+ 老齢人口割合(65歳~) = 1
▼ 三角グラフ/Ternary Plot
IGOR Pro で三角グラフ/Ternary Plot を描く手順は、IGOR Pro 付属のサンプルエクスペリメント Ternary Diagram Demo を使って簡単にご紹介します。
サンプルファイルを開いたら、ウィンドウメニュー>新規>Packages>Ternary Diagram を選択し、New Ternary Diagram ダイアログを開きます。
このダイアログで、3つのコンポーネント、A、B、C を選択することができます。ここでは、A のリストで Feldspar、B のリストでLithics、C のリストでQuartz をそれぞれ選択して、Do It ボタンをクリックます。(なお、Z のリストは、コンターを描く時に選択するものですので、ここでは省略します。)
いきなりグラフが完成します。簡単ですね。データを見るとわかりますが、A、B、C に割り当てた3つのデータは、足すと1になるように変換されています。実は、この変換は不要で、もし、足して1にならないデータが与えられた場合、IGOR Pro は各ウェーブを行の総和で割って、足して1になるようなウェーブを自動的に生成してグラフを描きます。
続けて、プロットに境界線/boundaries を追加してみます。グラフメニュー>Ternary Diagram>Add Ternary Diagram Trace を選択し、Add Ternary Trace のダイアログを表示します。
ダイアログのA、B、C のリストで、それぞれ、FeldsBdry、LithBdry、QtzBdry を選択します。
あれ? 何が変わったのか、一見しただけではよくわりませんね。実は、今追加したトレースが ○ で追加されてしまったためです。グラフメニュー>トレースアピアランスの修正を選択し、TernaryGraph1 を選択して「モード」のリストで「折れ線」を選択し、カラーを青に変更して、実行ボタンをクリックしてください。
境界線が描かれていますね。また、Ternary Plot の軸やラベルの修正は、通常の軸を修正のダイアログではなく、グラフメニュー>Ternary Diagram>Modify Ternary Axis, Tick and Grid あるいは Modify Ternary Labels を利用します。
▼ 座標の読み方
次のグラフは、冒頭で触れた産業別の人口分布の全国平均値*3を、1920年(大正9年)~2000年(平成20年)までプロットしたものです。
案外難しいのがこのグラフの読み方です。通常のXYプロットであれば、データ点から軸に垂線を下して、垂線の足の位置の目盛りを読めばいいわけですが、このプロットでは、軸に垂線を下して読むことはできません。
それぞれの辺には目盛りラベル(パーセントを示した数値)が表示されていて、その目盛りラベルの位置には、軸目盛りが2本、軸と60度の角度で描かれていて、他の2つの軸へ水色のグリッド線が伸びています。Ternary Plot では、垂線ではなくこのグリッド線で示された60度の方向に値を読む必要があります。
例えば、黄色でハイライトしてあるのは1975年のデータですが、この場合、第1次産業人口の割合は14%(緑色)、第2次産業人口の割合は34%(青色)、第3次産業人口の割合は52%(茶色)、と読みます(グラフをクリックして大きなサイズのプロットで見てみてください。)つまり、2本のグリッド線のうち、目盛りラベルに平行なグリッド線の方向に値を読んであげればよいわけです。
1920年(大正9年)のデータ点を読んでみましょう。第1次産業人口は左上から右下に読みますので55%(緑色)、第2次産業人口は左下から右上に読みますので21%(青色)。第3次産業人口は右から左に水平に読みますので24%(茶色)と読むのが正解です(グラフをクリックすると大きくなります)。戦争を挟んだ80年あまりの間に、日本の産業構造が大きく変化したことが、改めて確認できますね。
▼ まとめ
IGOR Pro で三角グラフ/Ternary Plot を描く手順と、その座標の読み方をご紹介しました。3つのデータが必要な平面のプロットで、ちょっと異端児的なプロットですが、覚えておくときっといいことがある、かもしれません。
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井上@技術部でした
参考・引用情報
*1 統計局ホームページ/日本標準産業分類(平成19年11月改定)
*2 統計局ホームページ/日本の統計-第2章 人口・世帯
*3 【参考】産業(旧大分類),男女別15歳以上就業者数-全国(大正9年~平成12年)※平成14年3月改訂前



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