先日の記事では、
つまり、「軸を利用するとき/追加するときには、トレースも追加しなくてはいけない」ということです。もう一歩踏み込んで、「トレースを追加するときしか、自由軸は追加できない」と言ってしまっても間違いではないはずです。
と、力を込めて説明しましたが、実はコマンドを使うと、任意のタイミングで「軸を追加」することができます。前回の記事でがっかりされた方がいらっしゃったらごめんなさい。今回ご紹介するのは、「コマンドで軸を追加」する方法です。
▼ NewFreeAxis
今回は前置き無しで本題に。グラフ作成時以外のタイミングで、グラフに軸を追加するための操作関数は、ずばり、 NewFreeAxis です。
NewFreeAxis [/L/R/B/T/O/W=winName ] axisName
フラグ、/L/R/B/T は軸の位置、Left、Right、Bottom、Top をそれぞれ意味しており、既定値は /L(左軸)です。/O は上書き、/W=winName は対象のグラフウィンドウの指定です。もちろん、axisName は追加する軸の名称です。
例えば、次の3行のコマンドを実行してみてください。
Make jack=x
Display jack
NewFreeAxis fred
何の変哲もないグラフに、新しい縦軸が追加されています。
▼ 軸の範囲
めでたく、軸が追加されたわけですが、範囲がおかしなことになっています。軸の中央の 0 とだけ表示されています。プロットした jack というウェーブとの範囲とリンクしていません。それもそのはず、この新しい軸(自由軸)は、ウェーブとリンクしていない、本当の意味で Free な軸だからです。
その証拠に、この fred という軸について、軸を修正ダイアログ>軸範囲のタブ を開くと、手動範囲設定の最大/最小の値がともに「0」 となっていて、自動スケール設定を操作してみても、エラーにこそなりませんが、まったく有効でないことが分かります。
せかっく追加した軸がどのウェーブにもリンクしていないのは、いろいろと不便です。軸範囲について疑似的に連動させるには、簡易設定でプロットされているウェーブを選択し、その下の「Y最小/最大」、あるいは「X最小/最大」のボタンが利用できます。この例では、jack を選択し、「Y最小/最大」ボタンをクリックすると、既存の Left 軸と同じスケーリングで表示されます。簡易設定は、手動設定のオプションのようなものなので、これを利用すると、自動スケール設定が利用できなく(グレー表示に)なります。
「疑似的に」と断ったのは、jack が変更されても軸範囲は追随しないからです。例えば、次のコマンドを実行します。
Make/O/N=200 jack=x
jack は当初128ポイントでしたが、200ポイントまで拡大しました。Left 軸はこの変更に追随しますが、手動設定となっている fred 軸は、変化していません。
なお、軸の範囲以外の、目盛りやラベルといった設定は、通常通り、軸を修正ダイアログから設定、変更可能です。
▼ 軸の削除
NewFreeAxis で追加した軸は、既定の軸とは異なり、削除することができます。
KillFreeAxis fred
軸範囲の設定はちょいと面倒ですが、それ以外は削除も含めて自由自在です。
▼ まとめ
自由軸を追加、削除する操作関数をご紹介しました。メニュー操作からでは利用できない IGOR Pro の隠された機能の一つです。自作のプロシージャなどで活用していただければと思います。
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井上@技術部でした。
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