大分ご無沙汰してしまいました。

あの大地震の翌週に記事を掲載する予定で、書いている最中に地震が発生し、なかなか続きを書くことができませんでしたm(_ _)m

被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

このブログで何度かご紹介した我が故郷、香取市も被害を受けました。実家は塀や天井が壊れた程度で大したことはなかったのですが、国指定史跡の伊能忠敬旧宅や県指定重要文化財クラスの建物が半壊し、街の中心を流れる小野川の護岸が一部崩れ、田畑が液状化が起き用水が寸断されるなど主要産業である農業と観光施設に被害が出ました ( http://www.youtube.com/watch?v=hdxQXsvBetE&NR=1 6 分 37 秒ぐらいから )。

震源から離れた千葉でもこのような状況なので、東北地方では潮に浸かってしまった農地や牧地、損壊された港湾や養殖施設、工場や事務所、機械機器など回復するにはどれほどの年月を要するのか想像もできません。

会社経由やポータルサイト経由などで些少ながら募金をしましたが、今後何年か復興されるまでの間、継続的にふるさと納税をしようかと検討中です。

 

さて、今回は初心に帰ってシリーズ第二弾です。

FlexPro をお使いの方の多くが使用されているデジタルフィルタについて今回は触れようと思います。

フィルタに触れるのは今回が三回目 (以前の記事は こちらこちら) ですが、まさに初心に帰ってデジタルフィルタの基礎を、自分の復習のためということもあり簡単にまとめてみたいと思います。工学畑出身ではないのでおかしいところもあるかと思いますが、お気づきになられたらコメント等でご指摘くださると助かります。

そもそもフィルタとは何か。

Filter の元の意味は濾過器とか漉し器、濾過材であり、いりまじっているところから必要なものを取り出す、あるいは必要でないものを取り除くのがフィルタです。紅茶を淹れるときに茶葉がカップに入らないように使用する茶漉しとか、ラーメンや蕎麦の茹でた麺を湯から取り出し湯切りをする平ザルとかあんなイメージですね。放射性物質を濾し取ってくれるフィルタとかあるのかな。あったとして濾し取った物質はフィルタに溜まるからその処分が大変か。

音や振動、光、電磁波などは様々な周波数の成分が混じり合って構成されています。測定された信号から必要のないノイズ成分を取り除く、あるいは特定の周波数範囲の成分だけを濾し取るのが信号処理でのフィルタです。

信号処理におけるフィルタにはアナログフィルタとデジタルフィルタがあります。アナログフィルタは抵抗、コンデンサ、コイルなどの電子部品の物理的な組み合わせで構成されます。抵抗とコンデンサをこう繋ぐとローパスフィルタ (LPF、下図) ができるとか、ハイパスフィルタはどうとか、その理論とかはすみませんが専門書をご覧ください。

LPF.jpg

デジタルフィルタはアナログフィルタの効果を数学的な関数やアルゴリズムに置き換えて行うフィルタです。

デジタルフィルタの利点は Wikipedia の記述を引用すると、

「デジタルフィルタは、アナログフィルタで容易に実現することができるものよりも高いパフォーマンスの特性を実行できる。
例えば、完全に1001Hzの信号を遮断し、かつ999Hzの入力のほぼ完全な通過を達成することができる1000Hzの低域通過回路を(ローパスフィルタ)作成するのは特に困難ではない。
アナログフィルタではこのように完全に周波数の信号を区別することはできない。
また複雑な多段ろ過操作については、デジタルフィルタはアナログフィルタよりはるかに良いSN比を達成する可能性がある。
これはアナログフィルタがそれぞれの中間的段階でより多くの雑音を信号に印加するが、ディジタルフィルタは変換におけるそれぞれの中間的段階で無雑音処理を実行するからである。
デジタルフィルタの主要なノイズ源はあらゆる回線雑音に加えて最初のADC(アナログ-デジタル変換回路)で見つかり、また信号は信号のディジタル表現の有限解決に避けられない量子化誤差(quantization error)を受けやすい。
さらに、フィルタの標本化周波数fsの半分を超える周波数に注意しなければならない。(ナイキスト周波数、折り返し雑音などを参照)
折り返し雑音の影響を避けるため、回路中にAD変換器の前に高周波成分を遮断する低域通過回路を挿入する。」

だそうです。

コンピュータの性能の向上により量子化の精度が上がり、ストレージの容量の大幅な増加により標本化の間隔であるサンプリングレートも上がったため、量子化誤差はかなり小さくなっているのではないでしょうか。

下図は標本化のイメージです。一番上が (擬似) アナログ信号、二番目はそれを 1 kHz でサンプリング、三番目は 100 Hz、四番目は 50 Hz、五番目は 10 Hz でサンプリングしたものです。この信号では 100 Hz サンプリングで測定すればほぼ現象を把握することができそうに見える。

digi_ana.jpg

フィルタにはいくつかの種類があり、たとえば FlexPro Standard および Professional に標準で装備されているもので言えば IIR 「ローパス」、「ハイパス」、「バンドパス」、「バンドギャップ」フィルタがあります。

「ローパス」は指定した周波数より低い周波数成分を取り出し、「ハイパス」はその逆で指定した周波数より高い周波数成分を取り出します。「バンドパス」は指定した上限と下限周波数の間の周波数成分を取り出し、「バンドギャップ」は指定した上限より高い周波数成分と下限より低い周波数成分を取り出します。

Filters.jpg 

デジタルフィルタモジュールを追加すると複数のバンドを使用した FIR マルチバンドフィルタを設計することができます。

IIR、FIR というフィルタの種類分けがあります。IIR は Infinite Impulse Response (無限インパルス応答) の、FIR は Finite Impulse Response (有限インパルス応答) の略です。

先ほど触れたようにアナログシグナルは標本化、量子化され一種のパルスとしてデジタル化されます。フィルタへ入力されたパルスは有限個の出力パルスを発生させますが、同時に理論上無限個の応答パルスを発生させます。

FIR フィルタは有限個のパルスを出力します。FIR フィルタの入力と出力の差分方程式は

y[n]=x[n]*c0+x[n-1]*c1...x[n-N]*cN

で定義されます。x[n] が入力信号、y[n] が出力信号、ci がフィルタ係数、N がフィルタ次数です。

IIR フィルタの場合は

y[n]=a1*y[n-1]+a2*y[n-2]...ak*y[n-k]+b0*x[n]+b1*x[n-1]...bk*x[n-k]

で定義されます。FIR フィルタに比べ複雑です。これは IIR フィルタにはフィードバックがあるためです。

FIR フィルタと IIR フィルタそれぞれの利点と欠点は以下の通りです。

IIR フィルタ

利点:

・ 閉じた設計公式で周波数選択可能なフィルタを計算するため、計算がシンプルである。

・ 振幅応答の指定は IIR フィルタを仕様するのがもっとも効率的である。

・ FIR フィルタに比べ群遅延が少ない。

・ 必要なフィルタ長が短い。

欠点:

・ 線形位相がない。

・ 群遅延が可変である。

・ すべての極が単位円内にある場合のみ安定的である。

FIR フィルタ

利点:

・ 線形位相を伴うフィルタ設計が可能である。

・ 常に安定している (伝達関数で 0 のみ保持)。

・ 群遅延が一定である。

欠点:

・ 計算集約的な反復手法が必要とされる。

・ 急峻なフィルタを得るには多くの係数が必要 (IIR フィルタに比べ高いフィルタ次数が要求される)。

 

今回はこの辺りで失礼をば。

※この記事の内容は執筆者の個人的見解で、ヒューリンクスによる公式情報ではありません。[免責事項]

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