今年の夏があんなに暑かったのがウソのように寒くなってしまいました。秋の日はつるべ落としといいますが、秋自体がつるべ落としのように過ぎてしまったような気がしますね。冬はもう目の前です。

関東の冬について僕が持っているイメージのひとつは「北風」。乾いた冷たい風が吹きすさぶイメージ。24時間北風が吹いている気がしますが、一日の風の強さと向きってどんなふうに変遷するのでしょう?

今回は、風向風速の時間変化を IGOR Pro を使って追いかけてみようと思います。

▼ 風向・風速のデータ

何はなくとも、データです。データがないと始まりませんので、今回も AMeDAS のお世話になります(感謝)。風向と風速は時々刻々変化しますので、時間解像度はある程度精細なものが好ましいでしょう。AMeDASで一番精細なデータは10分ごとのデータですので、ちょうど良い感じです。

比較のために、冬と夏の代表日として、今年の元日(1/1)とお盆(8/15)の風向・風速のデータを使ってみることにします。

▼ ベクトルプロット(アロープロット)

風向・風速の変化はベクトルプロット(アロープロット)で表現してみようと思います。横軸に時間をとって、時刻ごとの風向をベクトルの向き、風速をベクトルの長さで表現します。10分ごとのデータですので、1日だと 6 * 24 =144 個の矢印を並べることになります。

ベクトルプロット(アロープロット)の基本的な作成方法は、ヒューリンクスのウェブページに記載がありますので、こちらをご覧いただくことにして、ここではベクトルのデータの用意の仕方について、詳しく触れたいと思います。

■ 角度の与え方

ベクトルの長さ(=風速)と角度(=風向)を2列のマトリクスウェーブとして用意します。1列目が長さ、2列目が角度です。ヒューリンクスのウェブページに記載があるように、角度はラジアン単位で与える必要があります。ここでちょっと注意が必要です。

例えば、AMeDAS の風向データとして「北西」とあるデータは、北西から吹く風(北西から南東に吹く風)を意味していますので、グラフ上では左上から右下への矢印として表現するとよさそうです。一方、ベクトルデータの角度は、いわゆる角度ですので、そのベクトルが x軸正の向きとなす角度(反時計回り)となります。つまり「北西」は角度としては(3/4)*π rad ですが、ベクトルの角度として (3/4)*π を指定すると、表示される向きは右下から左上向きになってしまいます。なので、風向きとしては180°(= π rad)を引いた -π/4 rad を与える必要があります。ちょっとややこしい。

ig_vector_plot_1


■ 長さの与え方

ベクトルの長さはポイント単位で指定します。実は 4 ポイント以下の指定は無視されてしまい、デフォルトのマーカーが表示されてしまいます。風速といえば多くの場合せいぜい 3 m/s 程度ですので、長さとして風速をそのまま与えてしまうと、思うようにベクトルが描かれません。

今回は、一律に15倍して風速を長さとして扱うことにしましたが、ケースバイケースでグラフの見栄えが良くなるように調整する必要がありますのでご注意ください。


▼ さぁグラフ

実際のグラフは次のようになります。まずは、冬の代表日としての 2010/1/1のデータ。

ig_vector_plot_2

朝晩はイメージ通りの北風が吹いています。しかし、午前中は南からの風も吹いていました。そんなイメージはないですよね。もちろん、南から吹く風が体感ベースで暖かいわけではないから仕方ないのかもしれませんが。沿岸部の気候らしく、海風と陸風が入れ替わっているということですね。


次のグラフは、夏の代表日の 2010/8/15。ちなみに、この日の最高気温は 35.0℃ でした。

ig_vector_plot_3

なんと、一日中南風、そのうえ、風速も強め。夏場の風のほうが緩やかで、もうちょっと風向が変化してる気がしていたんですけど、これは意外でした。もちろん、勝手に決めた「代表日」ですから、その代表性が怪しいという可能性は否定できませんが、こんな日もある、ということですね。


▼ さらに進めて

もう一歩進めて風配図(Rose Plot)を描いてみましょう。ウィンドウメニュー>新規>Packages>Rose Plot を利用します。

ig_vector_plot_4ここでも必要なデータは、風速(speed)と風向(direction)のデータです。ただし、今度は2列のマトリクスウェーブではなく、それぞれ1次元ウェーブで用意する必要があります。また、上記の風向きの説明とは異なり、北西の風であれば、そのまま 135 という degree 単位のデータがあればOKです。きっとデータを用意すれば、ふつうこのスタイルになるはずですので、簡単です。


ig_vector_plot_5ig_vector_plot_6


Rose Plot は 1) 自動的に頻度データに変換した別のデータを作成して、2) そのデータを使って、半径方向にその割合/百分率を表示してくれるので、二重に便利です。1/1 は主として北西からの風が多く、その大半が2~3 m/s(青色)であることが分かります。一方、8/15 はずっと南寄りの風が吹いていて、もっとも頻度が多いのは 3~4 m/s(黄色)であることがわかりますね。


▼ まとめ

AMeDAS のデータを利用して、風向・風速データをベクトルプロットにしてみました。風向きデータの扱いにはちょっと注意が必要です。ベクトルプロットは頻繁に描くタイプのプロットではありませんが、覚えておくときっといいことがある、かもしれません。


井上@技術部でした。


データ出典:
   気象庁, AMeDAS "過去の気象データ", http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/

※この記事の内容は執筆者の個人的見解で、ヒューリンクスによる公式情報ではありません。[免責事項]

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