まもなく 9 月。アメリカンフットボールの最高峰 NFL は 9 月 9 日に昨シーズンのカンファレンスチャンピオンシップの再現となる New Orleans Saints 対 Minnesota Vikings のゲームでシーズンをスタート、日本では一足早く関東学生リーグ 1 部が慶應大学対東海大学のゲームで関西学生リーグ Division 1 が甲南大学対同志社大学のゲームでいずれも 9 月 4 日開幕します。日本社会人リーグも 9 月 4 日、パナソニック電工対エレコム神戸、吹田マーヴィーズ対アズワンで開幕しますね。ついでに、私が学生時代所属し、卒業後もサンデーコーチとして時々お手伝いをしていた Snails は 9 月 5 日に Vikings とのゲームでシーズンをスタートします。

NFL では来年 2 月のスーパーボウル出場、勝利を目指し公式戦 16 ゲームとポストシーズンゲームという長い厳しい戦いを、学生一部リーグは甲子園ボウル、ライスボウルへの出場を目指し、2 部、3 部などのチームは上位ディビジョンへの入れ替え戦出場、昇格を目指し、やはり厳しい戦いのシーズンに突入します。

 

今はまさにそのシーズン開幕を目前に控え、キャンプやプレシーズンゲームを通してグラウンドで、そしてこれまでグラウンドで見つけ開幕までにクリアしなければならない課題や戦略、戦術、これまでのスカウティングなどで収集した対戦相手の情報を集めてミーティングルームで、準備を重ねている時期です。来るシーズンへの期待と興奮、焦り、緊張、恐れ、不安、自信などさまざまな感情に押しつぶされそうになっているフットボーラーやスタッフもたくさんいらっしゃることでしょう。私自身もそうでした。春シーズンや夏の練習、合宿を通じて取り組んできたことへの自信や信頼、やっておけばよかったと思うことや完全にはクリア出来ていない課題などに対する焦燥感などこの時期はなかなか寝付けず口から行う点滴にだいぶお世話になりました。点滴を行ないすぎて何度か二日酔い状態でグラウンドに行ったことも。

チームスポーツである以上、至上の命題はチームとしてのプレーの完成であり、チームの勝利であります。が、同じアメリカで完成した野球でもそうであるように、個人成績もプレーヤーにとっては気になるところでしょう。ワイドレシーバーやランニングバックは獲得ヤード数や一キャッチ (キャリー) あたりの平均獲得ヤード数、TD 数、ディフェンスであればタックル数やサック数、インターセプト数、キッカーであればキックオフ一回あたりのヤード数や獲得スコア、フィールドゴールのロンゲストヤード、パンターであれば平均獲得ヤード数などが評価の基準となります。これらは比較的単純な、足し算や相加平均程度で求めることができます。ですがクォーターバックの評価基準となるレーティングは上記に比べると複雑な計算が必要になります。

フットボールにおけるクォーターバックと似たようなポジションとして比較されることがある野球のピッチャーは勝ち数、勝率、防御率など複数の評価基準があります。クォーターバックももちろんパス獲得ヤード数やタッチダウン数でも評価されることはありますが、評価する際にもっともよく使用される基準はパス成功率、タッチダウン率、インターセプト率、平均パス獲得距離から算出されるレーティングです。

レーティングの算出方法はプロである NFL と学生の NCAA では若干異なります。日本の学生リーグは NCAA の計算式を援用しています。

それぞれの計算式は以下の通りです。

NFL の場合

 

RatingNFL.jpg

NCAA および日本の学生の場合

RatingNCAA2.jpg

同じカテゴリの値を使用して計算するところは基本的には似ています。ただし、「標準的」と考えられるレベルが異なるためそれぞれのカテゴリで使用される係数が異なります。また、今回は (条件式を作成するのが面倒なため、というのは秘密) NFL 方式で計算時に使用されるキャップ (4 つのカテゴリの値は 0 から 2.375 に限定され、0 より小さい値は 0 に、2.375 より大きな値は 2.375 に置き換えられる) は省略しています。

ちなみに、現時点で現役期間通算最高レーティング記録 (1,500 試投以上) は 96.8 で San Fransisco 49ers や Tampa Bay Buccaneers で活躍した Steve Young が持っています。単一シーズンでの記録は 2004 年に Indianapolis Colts の Peyton Manning が記録した 121.1 です。同じ年、Pittsburgh Steelers の Ben Roethlisberger が歴代ルーキー最高の 98.1 を記録しています。NFL のレーティングは上記のキャップの存在により最大 158.3 となりますが、この数字を一つのゲームで記録した QB はのべ 59 人、複数回達成している QB がいるため 35 人が達成しています。上記の Peyton Manning と Ben Roethlisberger はそれぞれ 3 度記録しています。すごいなあ。ルールがオフェンス有利に変更される以前の 1986 年に、32 回 400 ヤード以上投げてこの記録を達成している New York Jets のKen O'Brien もすごい。しかしこの完璧なレーティングを先発 QB が記録しながらチームが負けたケースが二回あります。1993 年 New Orleans Saints 戦での Atlanta Falcons の Bobby Hebert と 2003 年 Indianapolis Colts 戦での New York Jets 戦での Chad Pennington です。ディフェンスチームとスペシャルチームが悪かったのか。

NCAA 最上位リーグの記録は、キャリア通算ではオクラホマ大学の Sam Bradford が 175.6 (2007 - 2009) を記録しています。単一シーズンの記録は 2006 年にハワイ大学の Colt Brennan が記録した 186.0、フレッシュマン記録は 1999 年にバージニア工科大学の Michael Vick が記録した 180.4 です。

レーティングに関する豆知識はこのあたりにして。ここらでレーティングを FlexPro に計算させてみたいと思います。ただ計算するだけでは上記を御覧の通り難しい式ではなく面白く無いので、レーティングを計算するためのパス試投数やパス成功数などをインタラクティブに与えるスクリプトを交えて作成します。

NFL の場合は下記のような式です。

Dim passatt, comppass, passyrds, tdpass, intercept, passpercent, tdpercent, intpercent, avgpassyrds
passatt = Input("パス試投数を入力してください")
comppass = Input("パス成功数を入力してください")
passyrds = Input("パス獲得ヤード数を入力してください")
tdpass = Input("パスによるタッチダウン数を入力してください")
intercept = Input("被インターセプト数を入力してください") passpercent = (((comppass/passatt)*100.)-30.)*0.05
avgpassyrds = ((passyrds/passatt)-3.000)*0.25
tdpercent = (tdpass/passatt)*20.
intpercent = 2.375-((intercept/passatt)*100.*0.25) ((passpercent + avgpassyrds + tdpercent + intpercent) /6) * 100

上のスクリプトで使用している Input() 文でパラメータなどをインタラクティブに提供します。NCAA の場合は下記のような式です。

Dim passatt, comppass, passyrds, tdpass, intercept, passpercent, tdpercent, intpercent, avgpassyrds
passatt = Input("パス試投数を入力してください")
comppass = Input("パス成功数を入力してください")
passyrds = Input("パス獲得ヤード数を入力してください")
tdpass = Input("パスによるタッチダウン数を入力してください")
intercept = Input("被インターセプト数を入力してください") passpercent = (comppass/passatt)*100.
tdpercent = (tdpass/passatt)*100.
intpercent = (intercept/passatt)*100.
avgpassyrds = passyrds/passatt passpercent+(3.3*tdpercent)-(2.*intpercent)+(8.4*avgpassyrds)

このようにシンプルなスクリプトでインタラクティブなパラメータ等の提供ができるのも FlexPro の面白さの一つだと思います。

フットボールに関しては、スポーツに統計を持ち込むのが好きなアメリカ人が考え出したスポーツだけに、様々なスタッツが NFL の中継を見ているだけでも示されます。スカウティングレポートにはもっと沢山のスタッツが収められているのでしょう。ゲームフィルムなど膨大な資料から状況ごと、選手ごと、対戦相手のタイプごとなど様々な見方でデータを収集して分析し、ゲームプランを考えるのは苦しくもあり、また楽しくもある時間です。そしてそのようにどれだけ準備に時間をかけたのかが実際のゲームに反映されるのがフットボールの面白さでもあります。京都大学アメリカンフットボール部の水野監督の言葉「選手の 1 時間はコーチの 10 時間」はまさにそのような準備の大切さを物語っていると思います。ただ、その準備も相手の突然のプレースタイルの変更などで覆されることがあります。あるいは状況的に変更を余儀なくされる場合もあります。それに臨機応変にアジャストする力もゲームに勝つためには要求されます。

グラウンド上だけではなく、ベンチ同士のそういった駆け引きもまたフットボールの面白さの大きな一部分ではないでしょうか。

ルールが難しそうだという理由でフットボールを見たことが無いという方、野球を楽しく見られるのであればなんの心配もなくフットボールも楽しめます。野球を観ている方の何割がインフィールドフライやインターフェアランスについて知っているか。サッカーを観ている方の何割がオフサイドの正確な定義を説明できるか。これ ぐらいの基本的な約束事さえ知っていれば十分楽しめます。ルールなどは気にせず、アーモンド状のボールが綺麗なスパイラルを描いて飛ぶパス、ボールを持って力強く人垣を破っていくランプレー、それらを必死に止めようとするディフェンスの気迫のこもったプレーなど眺めているだけでもワクワクすると思います。

フットボールを観よう!

と、今回も FlexPro について触れたのはほんの僅かになってしまいました。次回こそ真面目に FlexPro の機能をご紹介したいと思います。

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コメント一覧

一部、事実誤認がありました。
関東、関西学生リーグに先立ち、九州学生リーグが 8 月 28 日に、北海道学生、東北学生、中四国学生各リーグが 8 月 29 日に開幕しています。
各リーグ関係者の皆様、ファンの皆様にお詫びいたします。

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