前回 に続き FlexPro のグラフ (ダイアグラム) 関連のお話をしたいと思います。


FlexPro に興味を持たれる方、あるいは使用されている方が多くいらっしゃる自動車等の輸送機器関連の業界では比較的よく使用されていて、FlexPro のウェブサイトにある ギャラリーページ に作例が掲載されていることもあり、FlexPro でキャンベル線図を描く方法に関するお問い合わせを時々いただきます。


極グラフや等高線図、ベクトル図等とは異なりダイアグラムウィザードから選択して簡単に描画するというわけにはいかず、ちょっとしたスクリプトとグラフのカスタマイズが必要になります。今回はそのレシピをご紹介したいと思います。

まず、必要なものを用意します。FlexPro Standard か Professional と 次数解析モジュール (次数トラッキングモジュール)、それともちろん描画するデータが必要です。
今回の例では振動を測定したシグナルデータと、回転数の情報を持つインパルス (パルス) シグナルデータを使用します。

まずはデータを FlexPro にインポートします。データをインポートする手順は こちら をご覧ください。

データをインポートしたら次にデータを次数トラッキング解析します。先ほどインポートしたデータ (今回の例では振動データ Amplitude とパルスデータ Impulses) のデータセットオブジェクトをオブジェクトリストで選択し、「新規」メニューから「スペクトル解析」、「次数トラッキング」の順に選択します。
次数トラッキングプロパティダイアログボックスが現れます。このダイアログボックスの「データ」タブを開きます。
「サンプリング」の項の「時間シグナル」にチェックが入っていることを確認し、その右にある「速度の単位の修正法」のテキストプレースボックスに修正因子を入力します。今回の例ではパルスデータが s (秒) で測定されていますので、rpm に変換するため 60 を入力します。
「立ち上がりのシグナル」タブで「シグナル」に振動または騒音データ (今回の例では Amplitude) が、「速度」にパルスデータ (今回の例では Impulses) が選択されていることを確認します。違うものが選択されている場合はプルダウンメニューから適切なものを選択します。「セグメント長」にはデータ長の 1/2 より小さい適当な値をプルダウンメニューから選択します。評価する速度はデータや解析の目的に合わせて適宜設定してください。

OTPDialog_data.jpg
次に「オプション」タブに移動します。スペクトルのタイプに「振幅」を、FFT 長に「最大」を選択します。「ウィンドウ」はデータや解析目的に合わせて適宜選択してください。「次数」は「データシリーズ」のテキストプレースボックスに直接 1., 2., 3., 4., 5., 6., 7., 8., 9., 10. といった形で入力するか、データセットを用意しておき選択し指定します。
「結果」には Y = 振幅、X = 速度、Z = 次数 を選択します。

OTPDialog_OP.jpg

これで次数トラッキング解析の設定が完了したので OK ボタンをクリックしてダイアログボックスを閉じます。

続いて幾つかのスクリプト、FlexPro でいう公式を作成します。
一つ目はキャンベル線図の特徴である次数の斜軸を作成するための公式です。新規に公式を作成し、以下の式を入力します。

Dim f, i
f = (OrderAnalysis.x) # NumberOfElements(OrderAnalysis.z)

For Each Row i In OrderAnalysis.z Do
 f[i] = f[i] * OrderAnalysis.z[i]
End
Signal(f, OrderAnalysis.x)

この例では後で使用しやすいように公式オブジェクトの名前を Frequency に変更しておきます。

次にキャンベル線図上で振幅の大きさを表すシンボルである円の位置と大きさを決定する公式を作成します。
新規に公式を作成し、以下の式を入力します。

OrderAnalysis.y / Maximum(Maximum(OrderAnalysis.y)) * 10

最後の * 10 の部分は表示される円の大きさを見やすい大きさにするためのものであり、その数値自体にはあまり意味はありません。
こちらの公式の名前は Amplitudes に変更します。

次数毎の Amplitudes の値を持つ公式を作成します。これらの公式はキャンベル線図で振幅を表す円の大きさを決定します。
次数トラッキング解析で 10 次まで解析を行いましたので、この例では 10 個の公式を作成する必要があります。

まず一つ目。以下の式を入力します。

Amplitudes[0]

この公式の名前は Amplitude1 と変更します。

二つ目。Amplitude1 公式オブジェクトをオブジェクトリスト上でコピーアンドペーストして複製し、ダブルクリックして開き、式を次のように変更します。

Amplitudes[1]

この公式の名前は Amplitude2 と変更します。

以下同様に Ampliltudes[2], Amplitudes[3],... Amplitudes[9] の式を持つ公式を Amplitude10 まで作成します。

これで下ごしらえは完了です。ほとんどの料理と同様、下ごしらえが時間も手間もかかります。調理に入ってしまえば後は一気に完成に向かいます。

まず、オブジェクトリストで Frequency 公式オブジェクトを選択し、「新規」メニューから「ダイアログ」を選択、あるいはツールバーの「ダイアグラムの挿入」アイコンをクリック、もしくは公式オブジェクトを右クリックし「新規」→「ダイアグラム」の順に選択します。

ダイアグラムウィザードが起動しますのでダイアグラムタイプに「ライン」、サブタイプに左上の「線」を選択し「終了」ボタンをクリックします。
斜線が 10 本描かれた線グラフが作成されました。この斜線が次数軸になります。

ダイアグラム上の白紙の部分を右クリックし「プロパティ」を選択し、2D ダイアグラムプロパティダイアログボックスを呼び出します。
「カーブ」タブを開き「カーブ」のリストからまずは Frequency[0] を選んでダブルクリックするか、リストの上にある 5 つのアイコンのうちの一番左をクリックして Frequency[0] カーブのプロパティダイアログボックスを呼び出します。デフォルトの状態ではカーブ毎に色が異なる線グラフが描画されていますが、これを黒に変えるのであれば「結合ライン」タブを開き中程の「カラー」ドロップダウンリストから黒を選択します。
次に「シンボル」タブに移動します。「シンボルのオン」にチェックを入れ、「シンボルと結合ライン間のギャップ」のチェックを外し、「タイプ」ドロップダウンリストから「円」を選択します。「カラー」に黒を選択します。振動の大きさを表す円を塗りつぶしたくない場合は「塗りつぶし」のチェックを外します。
「サイズ」をデフォルトの「固定値」から「データセットから」に切り替え、ドロップダウンリストから Amplitude1 を選択します。
「適用」ボタンをクリックして変更されたグラフに満足がいくようであれば「閉じる」ボタンをクリックして「カーブ1」のプロパティダイアログボックスを閉じます。

2D ダイアグラムプロパティダイアログボックスのカーブのリストから今度は Frequency[1] をダブルクリック、あるいはプロパティダイアログボックスを開くアイコンをクリックします。上と同様の手順でシンボルのサイズを指定するデータセットに Amplitude2 を選択します。以下同様の手順で Frequency[9] のカーブまで作業を行います。

これでキャンベル線図が完成しました。

CampbellDiagramS.jpg

調理 (作図) まで完了したらあとは盛り付けです。情報の読み取りやすさや見栄えなどはそれぞれみなさんのセンスやこだわりに合わせて、マーカーの色を変える、マーカーの内部を塗りつぶす、次数ごとに線とマーカーの色を変えるなどダイアグラムのプロパティダイアログボックスから行ってください。ダイアグラムのプロパティダイアログボックスはダイアグラム上の空白部分をダブルクリックすると現れます。

ご参考までに、上記の作業を行った FlexPro データベースを公開します。FlexPro8.0.20 トライアル版で作成したので、8.0.20 以降の製品版はもちろん、トライアル版でも開くことができます。トライアル版は こちら からダウンロードできます。

CampbellSample.FPD

ダウンロードされた方、簡単なコメントで結構ですのでご感想をお聞かせください。

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