Tecplot は流体解析や構造解析の結果を可視化する強力なツールです。
さて、有限要素法(Finite Element Method, FEM)で構造解析を行うと各要素で要素力(応力、歪など)を得る事ができます。
実はこの要素力のコンター図(等高線図)を書くときは注意が必要です。
で、要素力のコンターを書く時の一般的な流れをおさらい。
-図1-
図1の様に FEM では各要素で求められた要素力をその要素を構成する節点の位置で平均化し、その後、節点と節点の間で要素力の値を補間してコンター図を作成します。
隣り合う要素では節点を共有しているので、この節点はそれぞれの要素力の影響を受けて平均化されます。
※平均化の方法は外挿や単純平均など様々な方法が有ります。また要素の積分点数などによりその方法が異なります。上の図では積分点数が1の単純な平均化をイメージしています。
ところが、物性やその形状(板の厚さなど)が連続していない境界上でこの平均化を行うと、間違ったコンター図が表示されてしまうのです。
図2のような一部の領域で厚さが違う鉄の板を例にしてみましょう。
-図2-
解析は図3のような問題を考えます。
-図3-
解析モデルは図4のように2次元の平面要素でモデル化します。
-図4-
板の2辺が固定されていて、その2辺と対角の位置に有る角に、上から荷重を与えます。
容易に想像がつきますが、厚さが薄い部分は厚い部分より変形の度合いが大きくなります。
従って、そこに発生する歪みは厚い部分よりも大きくなります。
この歪みを上で述べた(間違った)平均化で、そのままコンター図にしてしまうと図5のようになります。
-図5-
厚さが違う境界を跨(また)いで歪みが平均化されてしまったため、厚い部分も若干、歪んでいるように表現されています。
このような物性や形状が違う不連続な領域を考慮してコンター図を書く可視化ツールはなかなか存在しません。
実は Tecplot もそのような機能が無いのですが、ちょっとした工夫で書く事ができます。
それは、図6の様に、不連続な境界部分の節点を2重にして領域を分離してしまう方法です。
-図6-
そのような処理をして書いたコンター図は図7のようになります。
-図7-
図5と比較して板厚の薄い部分に歪みが集中しているのが分かります。
この方法はかなり昔から有るやり方で、良く行われるのは FEM データの形状番号を元にして、その境界だけ2重節点にして可視化する方法です。
Tecplot は Python 言語でカスタマイズできるので、この処理を自動化する事もできそうです。
今度、チャレンジしてみますね。


