IGOR Pro 日本語版にもついに待望の 6.1 が登場しました! 近年の IGOR Pro は、"5.0.x" のように、メジャーバージョンの2ケタ下のマイナーアップを数回繰り返したのちにメジャーアップしていましたが、今回は珍しく、1ケタ下のバージョンのマイナーアップです。メジャーアップではありませんが、従来のマイナーアップに比べると、多くの新機能が追加され機能改良がいろいろ行われています。

まったくの独断と偏見で、お勧めの新機能や変更点を5個ピックアップしてみました。

  1. 対応 OS の変更
    • Windows 7 をサポート(Mac OS X 10.6 Snow Leopard は既にサポート済み)
    • 古いOSのサポートを終了(Windows 2000 や Mac OS X 10.3)
  2. パッケージの更新
    • Multipeak Fitting Package のバージョンアップ(1.4 → 2.0)
    • Ternary Diagram Package の更新
    • Global Fitting Package の更新
  3. ユーザごとの初期設定フォルダ(Igor Pro User Files フォルダ)
  4. ファイルエクスポート
    • PDF や EPS ファイルへのエクスポートで、日本語フォントの埋め込みをサポート
    • Gizmo の EPS エクスポートのサポート。
  5. ファイルインポート
    • 巨大な1次元データ読み込みの高速化
    • ファイルを開くダイアログで複数ファイル選択をサポート

▼ 対応 OS の変更

IGOR Pro バージョン 6.1 の対応 OS は次のように変更されました。(新機能でもなんでもありませんが、大きな変化だと思い、1番目にピックアップしました。)

Windows: Windows XP, Windows Vista および Windows 7 Macintosh: Mac OS X 10.4 以降

Windows 7 をご使用の方、お待たせしました!ついに対応です。しかし、これまでサポートされていた Windows 2000 や Mac OS X 10.3.x は対応リストから外れることになりました。ご注意ください。

▼ パッケージの更新

パッケージとは、特定の機能を実現するために作成されたプロシージャ(=IGOR Pro 独自のスクリプト)群です。いくつかのパッケージが更新されていますが、お勧めはこの辺。

  • Multipeak Fitting (ピークフィッティング、ピーク分離を行うパッケージ) ig_61_multipeakfit2.png

    UI が一新され、ピークごとに異なるカーブを設定したり、解析結果に簡単にアクセスできるようになったりなど、かなり改良されています。Multipeak Fitting は別の機会に詳しくご紹介したいと思います。

  • Ternary Diagram (三角形のグラフを描くパッケージ) ig_61_ternary.png

    これまでも Wavemetrics Procedures フォルダにはプロシージャとして付属していましたが、このバージョンから正式なパッケージとなりました。

  • Global Fitting (共通パラメータを含むフィッティングを行うパッケージ) ig_61_globalfit.png

    Global Fitting とは、いくつかのよく似たデータにカーブフィッティングするときに、パラメータを共通にする(=グローバルパラメータにする)フィッティング手法です。機能には大きな改良はないのですが、UI はかなり使いやすくなりました。

▼ 初期設定フォルダ

最近の OS は、アプリケーションをインストールする領域へのアクセス権の制御が厳しくて、これまでのようにユーザごとの初期設定やファイルをそういった場所に保存することができなくなりました。これに対応するために、IGOR Pro 6.1 では Igor Pro User Folder というフォルダがユーザごとのドキュメントフォルダに作成されるようになりました。

Windows:
     C:\Users\<username>\Documents\WaveMetrics\Igor Pro 6 User Files
Macintosh:
     /Users/<username>/Documents/WaveMetrics/Igor Pro 6 User Files

▼ ファイルエクスポート

グラフをファイルとしてエクスポートするときに、ベクターフォーマットである EPS や PDF 形式がよく利用されますが、これまでグラフに表示された日本語のフォントを正しく埋め込むことができませんでしたが、バージョン 6.1 で修正されました。Illustrator のようなソフトで日本語テキストも含めて編集できるようになります。

また、Gizmo で描いた 3D グラフは、ラスター形式(BMP/PICT)でしかファイルとしてエクスポートできませんでしたが、EPS でエクスポートすることが可能になりました。

でも今のところ、メニューからは操作できなくて、Gizmo を最前面表示してコマンドウィンドウで

ExportGizmo EPS

です。

▼ ファイルインポート

IGOR Pro で大きなデータを読み込もうとすると、かなり時間が必要でしたが、バージョン 6.1 では1次元データの読み込みに関してはかなり改善されています。

もうひとつ、これまでの IGOR Pro では、ファイルを開くときに指定できるファイルは1つだけでしたが、6.1 では OPEN コマンドに適切なフラグを用いることで、複数指定できるようになりました。これは、複数のファイルを取り扱うようなプロシージャを作成している方にはきっと福音です。

簡単な例を紹介しましょう。以下のコードは、Programming.ihf の「Displaying a Multi-Selection Open File Dialog」のセクションに記載されているものです。

Function/S DoOpenMultiFileDialog()
 Variable refNum
 String message = "Select one or more files"
 String outputPaths
 String fileFilters = "Data Files (*.txt,*.dat,*.csv):.txt,.dat,.csv;"
 fileFilters += "All Files:.*;"
 Open /D /R /MULT=1 /F=fileFilters /M=message refNum
 outputPaths = S_fileName
 
 if (strlen(outputPaths) == 0)
  Print "Cancelled"
 else
  Variable numFilesSelected = ItemsInList(outputPaths, "\r")
  Variable i
  for(i=0; i<numFilesSelected; i+=1)
   String path = StringFromList(i, outputPaths, "\r")
   Printf "%d: %s\r", i, path 
  endfor
 endif
 
 return outputPaths  // Will be empty if user canceled
End

OPEN コマンドでファイルを指定するダイアログを開いていますが、このとき

OPEN/D/R/MULT=1

を指定すると、複数選択できるようになりました。この例では、得られた複数のファイル名を履歴ウィンドウに表示させていますが、使い方に合わせた、いろんな工夫ができそうですね。

これ以外にも、たくさんの機能追加がなされています。詳しい情報はこちらも合わせてご覧ください。何か IGOR Pro 6.1 のお勧めの機能などありましたら、ぜひコメントをお寄せください。 

 

ご注意:
Windows では、これまでのようにアップデータによるアップデートではなく、いったん v6.0 をアンインストールして、6.1 をインストール必要があります。
Macintosh では、アンインストールの必要はありませんが、新規にインストールする必要があります。

井上@技術開発部でした。

※この記事の内容は執筆者の個人的見解で、ヒューリンクスによる公式情報ではありません。[免責事項]

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