若かりし頃、地震動の解析をやっていた吉崎です。あの頃は地震が発生すると忙しくなるという生活でした。
地震が起きると建物に設置してある地震計に揺れが記録されるので、これを使ってシミュレーションするんです。

そのシミュレーションの時に利用するのが伝達関数というやつ。
さてそれでは伝達関数とは何ぞや?となるのですが、それを詳しく書いているとそれだけで終わってしまいそう。

かなり端折ると「入力シグナルのラプラス変換と出力シグナルのラプラス変換の比」と言えます。(ん〜、難しい〜〜。)
デジタル信号の世界では、これは「入力シグナルのZ変換と出力シグナルのZ変換の比」です。(まだ分からん。)
別の言い方をすると「入力シグナルが出力シグナルに変化する系(システム)の振動特性」と言えます。
もう少し具体的に今度は地震の時のお話を例にしましょう。
僕らが勤務している箱崎のビルは6階建です。このビルが地震で揺れた時のことをイメージすると分かりやすいと思います。
図でいうとこんな感じ。

hakozaki_building.pngのサムネール画像

ここで、1階の地震記録と6階の地震記録の間で伝達関数を求めると1階から6階に地震が伝搬する振動特性が得られることになります。

式でいうとこんな感じ

G(s) = Z変換(y(t))/Z変換(x(t))    (1)式

G(s):伝達関数(1階→6階)
y(t):6階での地震記録
x(t):1階での地震記録

です。これを図で説明すると、

transfer_function.png

ところで、1階の地震記録と6階の地震記録の差は何によって生じるのでしょうか。
その要因は様々ですが、一番大きく影響しているものは、建物の構造特性(堅さや重さなど)です。
つまり、(1)式で求められた伝達関数は僕らが毎日勤務しているビルの振動特性を表現していて、この振動特性を求めることが地震の時のシミュレーションなのです。

さて、(1)式は実際はZ変換のところを離散フーリエ変換を使用します。
実は、この離散フーリエ変換を使った伝達関数を計算するアプリケーションというのがなかなかありません。
勿論、フーリエ変換できるアプリケーションを使ってマクロを組めば計算できますし、Fortran 言語などで、プログラミングしても計算は可能です。(実際、僕は Fortran で組んでました。)
しかし、FlexPro は最初からこの計算を行う機能が有るのです。
しかも操作が簡単でこんな感じ。

[オブジェクトリスト]からシグナルを2つ選択して、
[右クリック]→[新規]→[スペクトル解析]→[クロススペクトル]→[伝達関数]

直感的に「そうかな?」って思う操作でOKなのです。

更に FlexPro のマクロレコーディング機能を使えば大量の記録に対して同様の処理を行い、レポートを大量に出力するなんてことも簡単にできてしまいます。
また、FlexProの他の機能と連携して複雑な処理を一気に行うということも可能なのです。

それと、もうひとつたいせつなことは伝達関数を求める際のこの「比」の計算は割り算であって、割り算は誤差を増幅する計算であるということ。
処理するシグナルが記録波形であればなおさらノイズが含まれていて、それゆえに求めようとしている「地震が伝搬する特性」はその影響を受けてしまうのです。

これを回避する為の一般的な方法は、シグナルにウィンドウ関数を作用させて予め平滑化しておくことなのですが、FlexPro はこのウィンドウ関数が豊富なのです。
少しだけ例を上げると、
  • ハニング
  • ハミング
  • 矩形
  • Welch
  • Blackman
  • チェビシェフ
  • Slepian
  • コサインテーパ
と他にもたくさん。僕の手元の Ver 8 では 32 種類のウィンドウタイプが選択可能になっています。

僕が地震の解析をやっていた頃は FlexPro は存在していませんでした。
もしあの頃にこのソフトが存在していたら確実に使っていました。それほど、FlexPro は直感的でパワフルです。

ちなみにこの FlexPro の伝達関数はスペクトル解析モジュールで可能です。

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